我が国の玄関口である港湾・海上空港の整備、水産業の拠点である漁港、漁場などの海洋インフラの整備にかかる水中工事、海洋エネルギー・資源開発、海上災害救助・サルベージ、海洋調査等の海洋に関する諸事の実施には、潜水士による作業が不可欠です。世界第6位の面積の排他的経済水域を有する日本は、今後、海洋立国としての発展が期待されますが、その実現に向けた諸作業は、潜水士の参加が前提となっています。
一方、我が国の潜水士は、高齢化により離職者が増加する中で、これを補い得るだけの若手後継者の確保が困難な現状にあり、その総数は、長期にわたって減少しているものと考えられています。このため、潜水士の後継者を育成して、必要な潜水士数を維持するとともに、限られた人数の潜水士が、今後とも、課せられた使命を果たすたことを可能とするため、これまで培ってきた技術を後継者に伝承し、さらには技術レベルの向上と業態の改善を通じた生産性の向上を実現することが強く望まれます。
将来の我が国の海洋立国としての地位の維持、あるいは向上のための諸施策の展開において、潜水士の作業能力がボトルネックとなる可能性があります。
この度、日本潜水協会は、こうした将来の事態に備えるため、「潜水士後継者育成・技術伝承検討委員会(委員長 放送大学池田副学長)」において検討を行っていただき、この委員会の成果として「潜水士後継者育成・技術伝承基本方針」ならびに「同アクションプログラム」をとりまとめて公表致しました。今後は、この基本方針およびアクションプログラムに沿って、広く関係者の協力も得ながら、潜水士の後継者育成と技術伝承を推進するため、具体的な取り組みを展開する予定です。
取り組みを実効あるものとするためには、国、地方自治体、潜水士養成課程を有する教育機関、潜水作業の実施に関係する企業、広く潜水を国民に普及することに貢献している海洋レジャーの団体、大学・研究機関など、潜水に関係するあらゆる分野と連携して協力することが重要と考えられます。
関係者の皆様には、この基本方針の主旨をご理解いただき、今後の日本潜水協会ならびに潜水業界の取り組みに対しまして、ご支援をお願い申し上げる次第です。
平成29年9月
一般社団法人 日本潜水協会
会 長 鉄 芳松
「潜水士後継者育成・技術伝承基本方針」については、こちらでご覧ください。 → 潜水士後継者育成・技術伝承基本方針
「潜水士後継者育成・技術伝承アクションプログラム」についてはこちらでご覧ください。→ 潜水士後継者育成・技術伝承アクションプログラム
→ 概 要
岩手県立種市高等学校海洋開発科は、海洋開発を目的とした潜水士養成を行っている全国唯一の教育機関です。全国のより多くの若者に、潜水士をこころざしてもらうため、地元の洋野町が学生寮の整備を進めています。
一般社団法人日本潜水協会は、この事業を応援しています。
学生寮は、寄附金によって建設される予定です。より多くの方のご協力を必要としております。興味のございます方、協力しても良いと思われる方は、以下をご覧くださいますようお願い申し上げます。